第3話 告白
「実は結婚することが決まっているんです。このままではいけないと思い伝えます。」
私は由緒正しい家柄の男性との結婚が決まっていた。すべてが順調で幸せ絶頂期のはずだった。
「わかりました。これ以上会っているともっと好きになってしまうのでもう会わない。」
この時代になぜか文通でのやりとり。夜勤明けで帰宅する彼の後ろ姿が窓から見えた瞬間、たまらなくなった。もう自分を止められなかった。
人生で初めてのずる休み。すぐに追いかけた。夢中だった。失いたくないと思った。
気づいたらやはり海にいた。海に会いに行くときは、子供の頃からいつも一人だった。誰かと一緒に行きたいとは一度も思ったことがなかった。でも今は出会って間もない男が隣にいる。
「俺と結婚しよう」
「・・・」
「考えさせて、今の状況じゃ何も言えない」
「じゃあどうしたいの、彼氏と別れるの?」
「・・・」
今まで自分の意思を通して行動してこなかった私は、導いてくれるものがないと判断できない大人になってしまっていた。どうしたいかわからない。ただこの人と一緒にいたい。誰も教えてくれない、私がどうしたらいいのか。