第2話 出会い

私たちはお互い子供を望まないDINKSだった。彼がセクシャルマイノリティーであることは関係ない。

名古屋 2008年6月

「おさげもお似合いですね」ただエクステを巻く時間がなくて二つ結びにしていただけ。だいたいおさげじゃないし。「褒められているように聞こえないんですけど」

それが彼との初めての会話だった。同じ職場だが話したことはなく、名前を知っている程度の存在だった。ただ、その瞬間、今までに感じたことのない衝撃が走った。人生ではじめての感覚だった。

何の不自由もなく育ち、優等生でしっかり者。親の期待に応えたい、褒められたい。何をするときも常にそれを優先して生きてきた。

そんな私にとって彼の存在は眩しくて魅力的だった。お互い好きになるまでに時間はかからなかった。